2018年08月13日
島津荘水流百景-018 / 長田峡
- 都城盆地、葉脈の如き数多くの水の流れでこの地の景が作られていたのではないか。
- 私はそんな想いが日に日に増しています。
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- その想いに至った理由については簡単ではあるけれど次の記事に記したので、宜しければどうぞ。
- ● <休憩一服> 都城の「幕末の道」を今の地図に落してみた
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- ということで、都城を離れて数十年、時を失した感もありますが、
- ここ都城(島津荘)の街中で見られる水流の景色を少しづつでも記憶していきたいと思います。
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※クリックで拡大 「 上:800*1200、下:1200*800)」 : その名も「長田峡橋」
島津荘の政所は郡元にあったとされ、その遺構がつい最近発見されたことは記憶に新しい。その島津荘の中心であった郡元の足元には東方の鰐塚山麓に源を発した沖水川が流れる。荒地や湿地等が拡がる盆地には幾筋もの流れがあったであろうに、その中からこの地が選ばれたことに興味は尽きない。
以前、この郡元を取り上げたことがある。 ● 島津荘水流百景-015 / 祝吉(郡元町)
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この時に述べたように、ここには小さいながらも河岸段丘がある。
この郡元の地には僅かではあるが安定した地面があったと想像できる。
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さて、郡元からその沖水川を遡ること10km程、三股町の山あいに「長田峡」はある。
● 三股町観光ホームページ > 長田峡
と言っても、県道33号線が並走し駐車場も隣接しているから訪れるのに左程の困難はない。
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峡谷について、上記の観光HPにはその山あいを流れる総延長10km の記載があるが、遊歩道が整備され散策気分を味わえる場所となると凡そ300m余りの距離。途中に対岸にある集落とを結ぶ橋があり、そこが峡谷を見下ろすことのできるビューポイントにもなっている。
※クリックで拡大 「 上:800*1200、下:1200*800)」 : 「長田峡橋」の上から
前述したように、駐車場に設けられた階段で数メートル下りると、整備された遊歩道に出る。遊歩道はここから西へ、長田峡橋の下を潜り驫木橋まで続いている。
※クリックで拡大 「 上:800*1200、下:1200*800)」 : 凡そ300m余りの遊歩道
ところで、橋の上から見て滝のように見えていたものは、水を引き入れるために設けられた井堰であった。明治末から昭和初期に、「石寺用水」と「樺山用水」の為に建設された旨の説明がある。
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そこで、なるほど!と合点がいった。今ある遊歩道はこの既存用水路を活用して作られたのだろうことをである。用水路と同レベルで遊歩道が造られていることがその証となる。
開発というと、一度真っ新にして全く新しいものを造るというイメージがあるが、
こうやって既にあるものにちょいと知恵と手を加えながら形を作り上げていく面白さ、賢さ。
※クリックで拡大 「 上:800*1200、下:1200*800)」 : 井堰、そして引込路から遊歩道横の用水路
肝心の説明が遅くなったが、南九州一帯は約 2万8000 年前の姶良カルデラから噴出した「溶結凝灰岩」によって形成されている。ここ「長田峡」もその産物の一つと言ってよい。冒頭に挙げた写真を見ると、「長田峡橋」の真下辺りは柱状節理の様相も呈しているようにも見える。
「溶結凝灰岩」とは名前はものものしいが、高温の火山灰、軽石等が圧縮されながら固まったもの。
長田峡橋辺りでは望めた峡谷も、遊歩道全編に渡ってその姿を見渡せないことは少々残念ではある。ビューポイントも限られている。試しに何か所かで身を乗り出してカメラを向けたが、遺憾ながら足が竦んで、こればかりはそれ以上どうしようもない。。
※クリックで拡大 「 上:800*1200、下:1200*800)」 : もこもこの「溶結凝灰岩」
陽の光を反射して美しい光景が眼下に拡がっている。それを間近に味わえないのは何とももどかしい。
日本各地にある人気の渓谷は「水」が近いことがある。
峡谷で言えば、「高千穂峡」はボートがある。
ここにも、ちょっとした知恵と手があればなぁと帰路につく。「仮想プロジェクト」始動、いずれまた。
※クリックで拡大 「 上:800*1200、下:1200*800)」 : エメラルド色に輝く水面
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2017年12月23日
島津荘水流百景-017 / 甲斐元町
- 都城盆地、葉脈の如き数多くの水の流れでこの地の景が作られていたのではないか。
- 私はそんな想いが日に日に増しています。
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- その想いに至った理由については簡単ではあるけれど次の記事に記したので、宜しければどうぞ。
- ● <休憩一服> 都城の「幕末の道」を今の地図に落してみた
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- ということで、都城を離れて数十年、時を失した感もありますが、
- ここ都城(島津荘)の街中で見られる水流の景色を少しづつでも記憶していきたいと思います。
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※クリックで拡大 「 1200*800 」 : 姫城川超しに南東方向を見る
江戸時代に入り一国一城令が出される。それまで盆地の西丘陵部都島にあった都城の城は、現在の市役所のある場所へと下りて来ることとなり、領主邸として構えられた。
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日本全国、平城といえど防御は構えねばならぬ。出来れば三方、二方と自然の要塞化された地が有難いのだが、そんな「ごっつぁんです」な土地など夢の夢。そこで少なくとも一方だけは、の土地を探し出し殆どの平城は造られるのだ。
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都城領主邸も南に流れる姫城川を活かし、少々小高くなっているその北側に居を移す。
江戸時代、現在の市役所横の国道10号線に当たる道は存在していない。
上段にもリンクを貼っているが、 ● <休憩一服> 都城の「幕末の道」を今の地図に落してみた
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また昭和初期(昭和6年12月)に市が編纂した地図もあるので見てみると、
北から伸びてきた「高岡筋往還」は、今の明道小学校にぶつかる形でT字路となっている。
地図を見てもらうと、市役所の南東に姫城川が南側に大きく廻り込んでいる場所があるのが判るだろうか。何故ここだけ大きく張り出しているのかと言えば、ここに小高い山、丘と言った方がいいのかな、があったからだ。
今は公園となっているが、私の小学校時代には大きくシラスを削り取ってはいたがまだ山の残形があった。
ここで敵味方のニ陣に分れシラスを丸めて投げ合って遊んでいたことを覚えている。
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当時その南側には姫城町公民館もあった。姫城川沿いの道からそこに上ってくる小さい坂道があって、
そんな道、都城ではなんとも珍しく不思議な感覚がして好きであった。
おそらくここいら一帯の地面の下はシラス台地が拡がっているのだろう。しかしそのような地でも地上では鬱蒼と竹が密生していたのではなかろうか。今でも市役所からほんの数分の処を流れる姫城川を覗くと、そんな情景を想像できるのが私には楽しい。
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この平成の世までなんとか乱開発を逃れて来たんだ。このまま無くならずに残って欲しい。
と、他人がどうこう言えるものではないですが、街の中心地でこれは本当に貴重です。よくぞ、という感慨も。
もし手を入れられる時が来ても、是非この風情を残して頂ければと切に願うものです。
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2017年12月17日
島津荘水流百景-016 / 上川東
- 都城盆地、葉脈の如き数多くの水の流れでこの地の景が作られていたのではないか。
- 私はそんな想いが日に日に増しています。
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- その想いに至った理由については簡単ではあるけれど次の記事に記したので、宜しければどうぞ。
- ● <休憩一服> 都城の「幕末の道」を今の地図に落してみた
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- ということで、都城を離れて数十年、時を失した感もありますが、
- ここ都城(島津荘)の街中で見られる水流の景色を少しづつでも記憶していきたいと思います。
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※クリックで拡大 「 1200*800 」 : 水路の袂に巨木が
一本の大きな木が、欅っぽいな、水路に影を落としている。
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この風景、前回取り上げた祝吉(郡元町)に流れる用水路「祝吉ホタルの里」の下流である。それも旧高木原用水路の高架下を潜り、西に僅か100m程の処に当たる。
旧高木原用水路の高架から東が、「祝吉ホタルの里」である。
東はその旧高木原用水路、西は10号線、北は沖水川、南は前回記事でも触れた沖水川の河岸段丘に囲まれた土地だが、10号線沿道には物販やホテル等の商業施設が、南側の段丘上には家屋が立ち並んでいる為もあって遺憾ながらこれまでここの存在を眼にしたことがなかった。
※クリックで拡大 「 800*1200 」 : 水面に程よい影を落している。
驚いた、と言うより嬉しくなったのは、そこに休息場のような心地よい設えが施されていたことだ。日本各地の街中を流れる水路に於いては多々見受けられる設えではあるけれど、田んぼのなかにポツンとある景はまた格別のものがある。
コの字型コンクリートで固められた水路の殺風景はなぁ、どうにも潤いがないもんねぇ。
残念なことに、ここから十数メートル下るとそんな風景になってしまっている。実に勿体無いことだ。
島津荘、昔はあちこちにこういう設えを有していたのであろうか? だとすれば、また拡がる田畑の中に樹木がポツポツの風景なんて限りなく素晴らしい景観ではないか。
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是非そんな島津荘に再生してもらって、この地を日本一の田畑風景にしてもらいたいもんだ。
※クリックで拡大 「 1200*800 」 : 一服の清涼親水空間
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